PLCは電子部品の集合体であり、その電子部品には寿命があります。
PLCの耐用年数は10年が目安とされていますが、PLCが設置されている周囲環境により耐用年数以内でも偶発的故障が発生する可能性があります。その場合、設備の稼働停止という大きな損失とともに、システムの復旧に必要な時間、工数、費用といったコストもかかります。
これらのトラブルを未然に防ぐために、PLCの点検と計画的なリプレースによる予防保全をおすすめします。
電子機器製品は数多くの電子部品を使用しています。個々の電子部品には、それぞれに故障率があり、その部品の故障率の合計が製品の故障率となり、一般的に下図のような「故障率曲線(バスタブ曲線)」で表す時間経過で故障が発生します。
設備稼働直後に発生する故障です。これは、製品そのものの不良から発生する故障もありますが、多くは設備の試運転で起きる操作ミスや設備の設計問題から発生する故障です。
〔具体的な対策〕
この時期は、試運転員の技術向上や教育、メーカとの故障に関する情報交換などによる不具合の早期発見が重要です。
設備も安定稼働に入り、故障率は長期間一定に安定します。この時期の故障の多くは事故や操作ミスなど、ランダムに発生するため事前予測が困難です。
〔具体的な対策〕
定期的な保守点検で機器の状態変化をとらえます。
物理的な摩耗や老朽化により、耐用年数付近から時間の経過とともに故障率が急激に上昇します。よって、この時期は特に「予防保全」が重要です。
〔具体的な対策〕
定期的な保守点検から、早期に異常を発見し、ユニットの寿命が来る前に交換し、故障の未然防止を図る必要があります。
PLC故障の多くは、下記の上位3項目で発生しています。その状況としては「経年劣化や環境要因による部品故障」が最も多いと言えます。
部品名 | 主な故障原因 |
入出力ユニット | リレー出力ユニットの接点摩耗などの経年劣化 |
電源ユニット | アルミ電解コンデンサの寿命による電源の不安定化など |
CPU | アルミ電解コンデンサの寿命によるノイズ耐量の低下など |
原因 | 補足 |
経年劣化 | 目視では把握しにくく、ある日突然故障発生も珍しくありません |
環境要因 | 周囲温度、湿度、塵埃などにより部品の寿命は大きく変わります |
接続不良 | 誤配線や配線端子ねじのゆるみ、定格値と異なる接続など |
他の原因としてプログラミングミスも大きく増加しています。
特に重要となる点検項目を下表に示しますが、具体的な点検内容や部品の交換時期などは、メーカの取扱説明書などを参照する必要があります。
点検項目 | ポイント |
周囲環境 | 周囲温度、湿度、塵埃などの確認と清掃除去が必要です |
状態LED | それぞれのユニット状態を示すLEDが正常であることを確認します |
バッテリー | BAT低下のLEDが点灯していないか、保証期間内かを確認します |
予備品 | バッテリー、ヒューズ、それぞれのI/Oや機能ユニットなど、数量や保管状態の確認と必要があれば、その動作を確認します |
プログラム | プログラム、パラメータ、制御用データなどが、万が一消失した時に備えて、定期的なバックアップを保存します |
制御盤の定期点検、更新工事のタイミングなどで、電源offによるCPU内プログラム消失の可能性があります。この場合、プログラム・パラメータ・制御用データのバックアップ有無が、その後の復旧作業に大きく影響し、最悪は作り直しという事態もあり得ます。
最新プログラムのバックアップは、PLCリプレースでも必要な重要作業となります。
IoTやAIを活用した予知保全も進んでいますが、必ずしも予知保全が優れているわけではなく、設備や機械を知り、的確な保全方法を選択することが効果的です。
的確な点検整備のサイクル設定により故障を未然に防ぐことができます。しかし、定期的な点検作業はコストアップになります。
設備劣化の兆候を監視して的確な診断を行うことで効率的に故障を防ぐことができます。しかし、的確な診断を行うためにはデータの収集と分析による診断基準の習得が必要となります。
そろそろ稼働後10年、現機種は生産中止、といった状態は大変危険です。
予防保全として、早めに「新しい機種へのリプレース」をおすすめします。
生産中止品PLCのプログラム解析、各種PLC間通信ネットワーク、PC間通信など、既存システムの調査から、最新システムへのリニューアルをサポートさせていただきます。
弊社は複数メーカのPLCを扱っております。そのプログラミングツールも多種多様ですが、他メーカPLCへのリプレースは、慣れ親しんだツールの変更でもあります。なるべく苦労せず置き換えたい! そのような課題解決をサポートさせていただきます。
IoT、M2Mといった設備のスマート化には、機器情報を「つなぐ」事が必要です。その役割として、最新PLCへのリプレースは、単なる予防保全だけでなく、スマート化に向けたシステムのリニューアルというメリットも生まれます。
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